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お知らせ

ニュースリリース

2021/04/09

外交・安全保障調査研究事業費補助事業 実績報告書(令和2年度) E. 新領域(サイバー・宇宙・AIをめぐる問題)を掲載します。

令和2年度活動報告(新領域)

令和2年3月
中曽根平和研究所

 
中曽根平和研究所は、令和2年度の外務省補助金による事業として、「先端技術による安全保障リスクに関する多面的分析」に関する研究を実施した。本事業は3年間にわたり実施することを予定しており、令和2年度はその初年度であり、最終的な提言は今後の研究を踏まえて実施することとするので、本件報告書の記載は令和2年度の事業の実績を中心とする。

 

令和2年度は、世界中が新型コロナウイルスに悩まされ、日常生活のありとあらゆる面に少なからず影響を及ぼし、世界レベルでの感染症対策にとどまらず、様々な対応が求められることとなった。年度の開始となる4月には日本国内での蔓延が深刻化し、同7日には緊急事態宣言が発出される事態となり、事業のスタート時点から、これまでには想定もされていなかった対応を迫られることになった。
 

感染防止のためにいわゆる「密」を避ける観点から、従来やってきたような対面で多数が集まる会合の開催は難しくなり、オンラインでの開催が求められるようになった。当研究所としても、そのための設備・機器を整える必要があり、また研究所員もシステムに習熟する必要があったため、各研究会の立ち上げに時間を要することになったが、この点令和3年度以降は、年度当初から研究会を円滑に実施していけるよう努めていく。

 
近年の技術革新は、人工知能をはじめとする先端技術の利活用を通じて、日本はもちろん、世界各国の経済・社会活動の利便性や効率を向上させるという効果をもたらしている。その一方でこうした先端技術は、サイバー空間を利用するなどして、経済・社会活動に害悪を及ぼそうとする国家・非国家主体に攻撃や攪乱の手段を提供することにもなっている。

 
米国や中国をはじめとする主要国は、先端技術を国防、経済、情報通信といった分野で利活用する取り組みに力を注いでいるが、そこで重要とされる先端技術の多くは、民間部門で広く研究・開発されている。中国による軍民融合戦略は、こうした傾向を反映したものである。

 
以上のような現代の技術環境は、諸外国を先端技術の利活用へと駆り立て、日本の国防、経済・社会、金融という諸システムに大きなインパクトをもたらしつつある。そうした状況の中、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延という、いわば新たなインパクトが発生したことを踏まえ、こうしたインパクトにより、どのようなリスクが生まれているのかを明らかし、対応策を講ずることが急務となっている。

 
このような認識を踏まえて、令和2年度には以下の研究会において、それぞれ研究を進めてきた。

 
1 宇宙・サイバーと先端技術(別紙1

急激な技術革新が進む中、現代におけるネットワーク戦でとりわけ重要な意味を持つとされる宇宙とサイバー空間の現状について調査、研究を行う。その際、先進的な取り組みを進める米国や中国をはじめ、諸外国の動向が日本にいかなる影響がもたらすかにも留意し、わが国にとって必要とされる能力や政策上の措置など、将来の安全保障のあるべき姿を追求する。また、分野横断的な研究体制により、問題提起に留まらず、先端技術のアプリケーションの具体的な提案を目指す。

 
2 デジタル技術と経済・金融(別紙2

ICT の存在感、重要性が増しているなか、ビッグデータ、AI、IoT、5G、サイバーセキュリティ等の技術進化の動向が、国際的に経済、社会、金融、産業等にもたらす新たな可能性とリスクについて調査研究を行う。さらに、国際金融機能の経済安全保障上の重要性を念頭に、デジタル通貨やブロックチェーンなどの技術革新や、保険スキームによる国際協力による活用が世界経済の発展に与える可能性について調査研究を行う。

 
3 コロナショック後の経済社会の変容(別紙3

新型コロナウイルス感染症が世界中に広がる中、今や「健康の維持」と「経済の活力の維持」は「平和」の基礎と言える。その際、新型コロナショックの経済社会への短期的な影響とともに、中長期的にみると、後期高齢者の急増と人口減少、中国・インドの経済プレゼンスの増大、グローバル化と保守主義の相剋、温暖化の一層の進展などが影響する。そこで日本・ 海外で共通する課題なども踏まえつつ、コロナ禍で改めて明らかになった日本の経済社会が直面する諸課題として、新型コロナ感染抑制のための感染症対策、インバウンドや交流人口を核とした都市・地域戦略、デジタル・トランスフォーメーション(DX)などを踏まえた産業戦略、単純労働や介護分野などにおける外国人労働戦略などの経済・社会政策、自殺・孤立問題などの社会問題など、コロナショック後の経済社会のあり方について、アンケート調査などのデータも活用して研究を実施した。

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