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研究

研究ノート

2019/06/04

米中経済研究会レポートNo.15ー 「トランプのアメリカ-WTO軽視の心理分析」(杣谷晴久主任研究員)を掲載しました。

米中経済研究会レポートNo.15ー 「トランプのアメリカ-WTO軽視の心理分析 ~共和党保守派の思想の影響~」(杣谷晴久主任研究員)

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(要旨)

●トランプ大統領は脱退をほのめかすほどWTOを軽視。パリ協定離脱、武器貿易条約の署名撤回等「多国間条約・国際機関」全般に対する軽視も見られる。

●トランプ大統領は武器貿易条約の署名撤回時に「米国の主権を誰にも渡さない」と述べており、WTO等「多国間条約等の軽視」は「米国を超越する権威である多国間条約等に米国の主権を奪われたくない」との考えが反映されているのだろう。

この考えは、米国共和党保守派の思想、すなわち、「愛国心」、「建国の理念(自由主義)」、「反権威・反知性主義」、「選民思想」、「宗教」に由来する価値観に基づいている可能性がある。

●「多国間条約等の軽視」の考えは歴史的に常に強かった訳ではない。

古くは、「国際連盟不参加」が「多国間条約等の軽視」の例だが、1930年代のルーズベルト大統領のニューディール政策以降、リベラリズムが米国に広まる中、第二次世界大戦後は、米国は多国間条約のGATTWTOを基盤に世界的な関税削減をリードした。

しかし、宗教保守・財政保守等共和党保守派は、ベトナム戦争敗北頃からの米国の弱体化・保守的文化の崩壊等への反発から政治的に高揚。この共和党保守派と主流派の融合に成功したレーガンは1981年に大統領選に勝利。レーガン大統領は「多国間条約」である「国連海洋法条約」の署名を拒否。以降も、例えば、「包括的核実験禁止条約」や「気候変動に関する京都議定書」に米国は加盟していない。

なお、トランプ大統領は共和党保守派の影響を受けているが、共和党主流派や民主党を中心として国際ルール重視等国際主義的な考えも引き続き相当ある。政権が変われば政策変更もあり得る。

●また、共和党保守派の思想に限った話ではないが、米国契約法で「契約を破る自由」があるように、米国は、その方が得になると考えると条約を破ったり、脱退したりする傾向があるとの指摘がある。トランプ大統領のWTO軽視にも「損得勘定」の観点もあろう。

●トランプ大統領によるWTO脱退の示唆は、米国共和党保守派の思想等に基づくと考えられ、WTO改革圧力のための「はったり」だけでもないかもしれない。トランプ政権との対峙にはその思想の背景の理解が重要。

(以上)


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