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研究

研究ノート

2019/06/14

「情報通信技術と国際的問題」研究会レポートNo.1-「AIは世界に平和をもたらすのか?-人工知能・5つの闘究-」(岩田祐一主任研究員)を掲載しました。

AIは世界に平和をもたらすのか?-人工知能・5つの闘究-

岩田祐一(主任研究員)

レポート本文はこちらからダウンロードできます。

(要旨)

■データの蓄積・共有の世界的な拡がり・深みと、ネットワーク・コンピューティングパワーの強化が相まって、人工知能(AI)は、世界平和に寄与しうる、以下5つの要素を今以上にもたらす可能性がある。これらにつき、検討を試みた。

■「①AIによる最適化・最適解追求」は、諍いの原因となる資源や物資配分争いへの対処策として有効。ただ、利害対立する主体間を跨ったAI実活用は困難であるものの、世界共通の設定課題をAIで解決する、といった試みによって突破口は開きうる。なおこれにあたり「実活用可能なAI活用の基本方針」策定が、意思決定・行動主体としての人間の安定性を守るために重要。

■「②AIによるコミュニケーションと相互理解の促進」に関し、諍いや誤解を防ぎうるような、コミュニケーション手段の適正化(翻訳・音声認識ツール等に加え、分析による手段・宛先・内容の絞り込みなど)についての応用の動きは盛ん。但し、対立やミスリードを煽りうるフェイクニュース等偽情報流布リスクも高まる。これを見破るツールも登場しているが、100%防止は困難。情報の真偽を二次的に確認する手段・リテラシーの向上は、国家競争力を左右する大きな要素。

■「③AIを活用した"組織化"」(組織内・組織間連携強化)について、利害対立を回避しうるような議論・交渉・合意に至るには、AIの自動化・自律化等を人間が理解し信頼し最適な採用をできるかが鍵。更に複数組織間の適切な関係性(連動・連携)への配意が、AIの活用度合を左右。

■「④世界普遍性確保(複製・分散・バックアップ)」について、既にAIは、世界的なクラウドサービス上に幅広く実装されつつあり、むしろ携帯第五世代(5G)時代に向けては、それを支える通信基幹インフラの安全性確保がリスクとなりつつある。また、こうした世界普遍的なAI活用にあたっての最大の障害は、「情報は自ら囲い込む」という人・組織の意識であり、特に日本においては「オープンかつ安全に管理する」という認識変革・制度改革が、欧米キャッチアップに向け急務。

■「⑤リスク減少・無力化」について、AIとの共生世界においては、確率論的・期待値的に損害の最小化を図る、という考えのもと、リスクをいかにして減少させるか・無力化させるか、という意識・アクションが重要となる。こうしたなかでは「リスクを根元から断つべき」「目には目を」「単一主体によるエンフォースメント」といった、いわば絶対的世界観から脱却した、新たなガバナンスへの工夫が必要。

■AIは、ある目的に沿って、近似解を探り当てていく仕組みを持つが、そこには(目的に沿った)一定の調整機能が組み込まれている。一方で、人間が、諍いを解決しようと知恵を働かせるとき、必ずしもそこでは常に適切な調整機能が発揮されるとは限らない。これはいわゆる「我」や「思い込み」もしくは「感情の乱れ」が、それを妨げることがありうるからである。この点を踏まえつつ、自らの心を解き放ちながら、AIを少しでも理解し、付き合い方を考えていくことこそが、実は最も近道なAIのよりよい活用方法といえよう。

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