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研究

研究ノート

2019/11/18

米中経済研究会レポートNo.18―「危機に直面するWTO紛争解決手続き」(木村藍子主任研究員)を掲載しました。

米中経済研究会レポートNo.18―「危機に直面するWTO紛争解決手続き」(木村藍子主任研究員)

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【要旨】

●1995 年設立されたWTOの重要な特徴は、強力な紛争解決機関(DSB)を持つとい う点であり、紛争解決手続き(DS)はWTOの主要な機能として存在してきた。

● 現行のDSは比較的よく機能しているとの認識の加盟国が多い中、事案の質・量の 拡大に伴う負担増大、設立時に予見されていなかった問題点の表面化などに対応す べく、1997 年からDSについて定める紛争解決了解(DSU)の改正交渉が行われて いるが膠着。

●2017 年夏から、任期が切れた上級委員の補充ができておらず、2018 年秋から定員 7 人の委員は 3 人と上級委員会で1つの審理を構成するために必要な最低限の人数のみとなっている。そして、ついに来月12月には委員1人を残すのみとなり、審議担当委員が確保できず、上級委員会は機能を停止、DS自体の機能・信任の危機に直面する。

●これは、米国が、①任期が終了した委員がDSBの承認なく業務を継続している、②事案の報告書の公表期限を遵守していない、③協定に規定されていない内容について、解釈の形で実質新たな法規を作っている等として第2審に当たる上級委員会の あり方を問題視し、委員の選出手続き開始をブロックしていることによる。なお、このような米国の態度は、上級委員会が判断をためらい、今年4月の韓国水産物規制事案について日本が敗訴することになったとの指摘もあるように、委員欠員問題に留まらない影響も出ている。

●こうした中、米国の問題視する事項を念頭に上級委員会の問題を解決する改革の議論が始まり、集中的に議論する非公式プロセスも1月に一般理事会の下に設置され、DS 議長がファシリテーターとなって議論が行われている。これまでの提案は、12本。

●10月、これまでの議論で、加盟国間の意見が収束したと思われる点をまとめた改革案が NZ 大使から12月一般理事会での採択を目指して提示され、危機打開を目指されたが、議論が収束したとする点についても米国は反論。米EUの哲学的相違もあり、 問題解決の兆しはみえない。

以上

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