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研究

コメンタリー

2021/02/04

海洋安全保障研究会の「中国海警法に関する緊急声明」を掲載しました。

2021.02.01

中国海警法に関する緊急声明

中曽根平和研究所

海洋安全保障研究会委員長

元統合幕僚長 齋藤 隆

 

 中国は1月22日に全人代常務委員会にて中国海警の任務や権限を定めた「海警法」を可決・成立させ、2月1日をもってこれを発効させたが、この法律の一部は国際法や国際慣行と相容れないものとなっている。

 海警法制定に関する報道の多くは第22条に着目し、中国の主権や管轄権を侵害する外国の組織・個人に対し「武器の使用を含むあらゆる措置」ができるとの規定があることを問題視し、ひいては日中間に武力衝突が起きる懸念等を報じている。このような懸念に加え、国際法や国際慣行と相容れない規定が多々含まれている疑いがある中で、当委員会としては特に、同法21条は、法の支配と正義を重んじる国際社会が看過してはならない規定であると考える。

 同法第21条には「海警庁は、軍艦及び非商業的目的のために運航するその他の政府船舶が中国の管轄水域において中国の法令に違反するのを阻止するために必要な警戒及び取締りの措置を講じ、直ちに当該海域からの退去を命じる権利を有し、これらの艦船が退去を拒み、重大な危害又は脅威を及ぼす場合には、強制撤去、強制曳航等の措置を講じる権利を有する。」(当委員会仮訳)との規定がある。本条項は、事前に発表された草案第74条(2)にみられた「中国の管轄水域」の定義規定が削除され曖昧化されたうえで、中国が一方的に定めるその"管轄水域"における権限として、軍艦、公船の航行に制約を課す規定となっている。これは国際法上の軍艦・公船の主権免除の原則に反するものであり、国内法をもって、領海外での軍艦、公船の航行に制約を加えるとともに、国際水域における航行自由の原則を制約するもので、明らかに国際法に反する規定である。

 当委員会は、歴史的な努力の積み重ねによって築かれてきた国際的な海洋法秩序と海洋自由の原則を踏みにじる海警法制定により、東・南シナ海における海警の行動を正当化し、なし崩し的に中国による海洋の支配を既成事実化することを断じて許すべきものではないと考える。

 当委員会は、ここに中国海警法が包含する国際法違反を明らかにし、法と正義を重んじる国内及び国際社会に対し緊急声明として発表するものである。

以上

 これは上記委員会の見解であり必ずしも本研究所の見解を示すものではありません。

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