新しい国際社会と日本の対応
平和研会議報告
「欧州における地域協力の拡大と国際社会への影響」3
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<第3セッション>
第3セッションでは「NATO拡大と新しい安全保障レジーム」について3名から報告が行われた(司会:今井隆吉 当研究所首席研究員)。
まず、カール・カイザー ドイツ外交問題評議会研究所所長は、テロリズムや大量破壊兵器(WMD)拡散防止へとNATOの役割が拡大する中で、NATOの役割の拡大あるいはそれを再定義する必要があると指摘した上で、NATOの再定義は国際秩序再構築の一部を成すものであると述べた。また、イラク問題については、第二次大戦以降の国際秩序の存在をイラクは無視してはならないが、イラク問題への対応は国際的対話に基づいて実施すべきであるとの見解を示した。
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次に、ランド・コーポレーションのシニア・アドバイザーであるロバート・ハンター 元NATO大使は、米国同時多発テロの際にはNATO加盟国は強固に団結して対応したが、イラク問題に関しては米国と欧州諸国あるいは欧州諸国内においても温度差があることを指摘しつつ、中東における安全保障問題に対するNATOの関与は今後も重要性が高まるとの見方を示した。
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最後に、金子譲 防衛研究所第二研究部第一研究室室長は、NATOが直面するであろう主要な二つの争点である「東方への拡大」と「危機管理ミッション」を採り上げ、ロシアとの関係、同盟の意義の再定義の必要性及び米欧の温度差について指摘するとともに、欧州における新たな安全保障レジームの模索が日本の安全保障に及ぼす影響についても言及した。
以上3名の発表を踏まえて質疑応答が行われた。その中で、イラク攻撃は東南アジアのイスラム教徒穏健派を過激な方向へ変える可能性があることを欧米諸国は認識すべき、アフガニスタンでの作戦に日本が自衛隊を派遣したが、テロとWMDへの対応を重視しつつある中国が否定的な反応を示さなかったことから、日本も対テロへの国際的取組に参加すべき、欧州域外での危機管理ミッションが今後増大することが予測されるので欧州諸国は軍事力の投入能力を整備すべき、等の意見が出された。
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<第4セッション>
第4セッションでは、「欧州拡大の国際社会への影響」と題して、欧州、アジア双方の実務家、研究者3名によって、欧州拡大が東アジアや米国などの域外にいかなる影響を及ぼすかについて報告と討議が行われた(司会:田中俊郎 慶應義塾大学常任理事・教授)。

最初に、ミヒャエル・ライテラー 駐日欧州委員会代表部副代表・公使からは、一般的な影響の指摘の他、ASEMの活動を通じてみた影響について発表があった。同氏は、まず、欧州拡大の影響の基礎には、1994年以降のEUの対アジア戦略があると述べ、戦略はアジアを4つの地域に区分した上で、地域安定化、貿易・投資拡大、発展途上国の開発援助、グローバル・パートナーシップ構築などを目的とした活動を展開していると指摘、これがその他の地域フォーラムなどにも影響を与えるようになっているとの見解を示した。次いで、同氏は、ユーロ登場の影響やその他の分野の問題に触れ、ASEMの活動はこれら問題に関しても大きな貢献となっており、その活動は今後もますます進化を続けていくとの見解を示した。一方、現状、ASEMが事務局を持っていないこと、あるいは参加国の増加に対し、より実体的な行動を取るための体制作りを行なう必要性など幾つかの課題が存在していると指摘した上で、同氏はそうした問題はあっても、ASEMは引き続きアジア・欧州双方の関係強化に寄与し多大な貢献をなすであろうとの見解を示した。
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