新しい国際社会と日本の対応
平和研会議報告
「欧州における地域協力の拡大と国際社会への影響」4
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続けて二番目の報告者としてオランダ政府政策研究会理事を務めるジャック・ペルクマンス ブルージュ欧州カレッジ教授が発表を行った。同氏は、まず、欧州の拡大は国際社会から充分な支持を得ているとの考えを示した上で、これは国際機関についても同様であり、WTOなど一部の国際機関を除けば欧州の拡大は広く支持を集めていると指摘した。同氏は、引き続き、欧州拡大の対象となる中東欧諸国について言及し、これら諸国は順調な経済発展を遂げており、これら諸国に対して行われる直接投資や生産委託は域内分業体制の深化と高度化を促進し、貿易を拡大していると述べた。一方、農業、サービス分野、労働市場などでは依然としてさまざまな問題が存在しており、引き続き改革と調整が必要であるとの指摘を行った。最後に、同氏は、今回のEU拡大は、人口、経済規模の面でみると過去最大であり、中東欧諸国にとってはヨーロッパへの回帰となるのだが、社会、文化への影響は間接的なものであり、拡大EUは加盟国の「多様性の連合」となるであろうとの見解を示した。
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最後に、第三番目の報告者としてエリック・タオ シンガポール国際問題研究所事務総長が発表を行ったが、発表の冒頭で同氏は、現在、欧州では地域主義(リージョナリズム)、域内統合、域内拡大が並進していると指摘し、その背景には、グローバリゼーションとリージョナリズムという二つの世界潮流が存在していると述べた。同氏は、リージョナリズムの進行は、こうしたグローバリゼーションへの反動であり、同時に市場拡大、投資拡大、文化保全、安全保障強化などがめざされているとの見方を示した。また、欧州モデルの東アジアにおけるリージョナリズムへの影響を考えた場合、多様性と格差を抱える東アジアのやりかたは、欧州モデルとは異なるであろうが、依然として米国やアジアに影響を有することは間違いないとの考えを示した。一方、同氏は、現下のリージョナリズムは、グローバリゼーションへの反動として隆盛を得ている部分があるが、欧州の状況を勘案すれば、近い将来において東アジアでもそうなるかは不透明な部分があると指摘し、東アジアにとっての問題の核心が、依然として、東アジアが一体となる強い意志やリーダーシップを発揮できるかにあるとの考えを示した。
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以上三氏の発表を踏まえて、最後に質疑応答が行われ、台湾の問題、アジア的価値観、非民主的国家の取扱の問題等について質疑と議論がなされた。
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以上の議論を受けて、公開シンポジウムでは国際会議参加者からの報告が行われ、それを踏まえて質疑応答が行われた(司会:大河原良雄 当研究所理  事長)。まずコーネリス・ケイザー駐日欧州委員会代表部一等書記官は、平和的なEU拡大及び枠組み簡略化のための憲法制定の重要性を述べた。次にカイザー所長は、9.11以降のNATOの役割はテロリズムやWMD拡散防止に向けた長期的戦略を有する大規模連合体であるべきで、国連の権威も高めつつ、日本に対しては平和維持活動への一層の貢献を期待すると述べた。ペルクマンス教授は、EUはWTOの枠組の中で農業政策の保護主義緩和を促進すべきこと、及び、トルコにEU加盟のチャンスを与えるべきとの見解を示した。ハンター大使は、テロリズムに対しては米国の単独行動ではなく、NATOや国連の枠組のもとで対応すべきであると述べた。最後に薬師寺主幹は、EUでは経済、安全保障、民主主義における統合が進展しているが、これは経済協力関係のみにとどまっているASEAN等へ示唆を与えるものであると指摘した。
以上5名の発表を踏まえて質疑応答が行われ、EUとNATOの役割分担、北朝鮮問題、イラク問題に関して質疑と議論がなされた。
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