新しい国際社会と日本の対応
平和研会議報告
「IT革命の進展とセキュリティ上の課題」2


 次に、第2セッションでは、「安全保障の変容とサイバーテロへの対応」をテーマに3人のパネリストが報告を行った(司会:今井隆吉世界平和研究所首席研究員)。初代内閣広報官の宮脇磊介氏は、新たなサイバーテロの段階として脅威の量的増加や強力なウィルスの出現等について説明した。英国IISSのオリビア・ボッシュ客員研究員は、サイバー上のリスクへの対応が各国で進んでおり、また、可能性のあるサイバー戦争における政府や企業の適切な対応の必要性について説明した。最後に米国CSISのジェームズ・ルイス部長は、サイバーテロは安全保障上の問題であることや、重要インフラシステムとコンピュータネットワークでの脆弱性の違いについて説明した。



 これらを受けて、活発な議論が行われ、具体的対応に関しては、Y2Kの際の経験を生かすことや、国際協力の重要性について指摘がなされ、NATOと同じような形で、民主主義という共通の価値観をもつ国々の間でCDA(Cyber Defense Alliance)のようなものを創設してはどうかとの提案もなされた。また、我が国の対応に関しては、上記CDAに対応できる体制の必要性や、そしてサイバー面での安全保障を技術の問題としてとらえる現状を改め、米国のように国家安全保障の観点からとらえるように意識を変革すること、そしてサイバーテロに対抗出来るような技術を開発すること等が指摘された。



 最後の第3セッションでは、「電子商取引等金融経済システムの安全性」をテーマに3人のパネリストが報告を行った(司会:小堀深三世界平和研究所首席研究員)。早稲田大学大学院の岩村充教授は、特定のOSソフトのシェアが大きくなることに伴うリスクやクロスボーダーの電子商取引の規制が難しい点を指摘した。デジタルメッセンジャー社(アイルランド)のアントワン・オゥ・ラクトナイン社長は、情報システムへの多様な攻撃手段および防御方法を説明したうえで、決定的な対応策はないが、プライバシー・利便性・コスト等のバランスを見極めつつ、技術による対策を進めることの必要性等を説明。最後にコマース・エクスチェンジ社(シンガポール)のマイケル・ヤップ社長は、技術革新やアクセス範囲の拡大により電子商取引システムに生じている新たなリスクを紹介したうえで、経営者が侵害リスクとセキュリティ費用とのバランスを見極めて自ら対策をリードすることの必要性、政府・経営者・技術者間の協調の必要性について説明した。


続いて、特定OSソフトのシェアが大きいことについて様々な角度から議論が行われた。また、新技術の利用によりリスクが拡大している一方で、これをコントロールする技術や制度面の対応に問題があること、セキュリティと利便性、セキュリティとプライバシーの間にはトレードオフ性があることなどが指摘された。



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この講演会は日本財団の助成事業により行っております。