21世紀の幕開けにおける戦略課題の研究
平和研会議報告
「南・東南アジア地域における海洋安全保障」1


 当研究所は、12月11日〜13日の3日間、東京全日空ホテルにおいて、「東南・南西アジア地域における海洋安全保障」と題する国際会議及びシンポジウムを開催した。
 東南・南西アジアを巡るシーレーンは地球海洋の大動脈であり、エネルギー資源をペルシア湾岸諸国に依存している我が国をはじめとする域内の国々にとって、シーレーンの安全確保は、死活的に重要な意義を持つ。しかし、「海洋安全保障」を巡っては、伝統的な安全保障上の問題から、経済のグローバリゼーションによって生じる新たな問題(脆弱性)や人類共通の脅威として認識されつつある海洋汚染の問題まで、様々な問題が存在する。

 本会議では、脅威の質の変化に着目し、地域海洋の安全保障を巡る現状の諸問題を明確化するとともに、これまでに築き上げられた国際的フレームワークの果たしてきた役割とその限界(問題点)及び軍事力の伝統的な安全保障としての役割と新たな役割等について、活発な議論を展開し、各国及び国際社会が今後取り組むべき課題を浮き彫りにした。


 まず初日の、第1セッション(司会:小堀深三世界平和研究所首席研究員)では、「東南・南西アジア地域の海洋安全保障の現状と問題点」をテーマに次の3人が報告を行った。最初に秋元海洋研究所所長の秋元一峰元海将補が、シーレーンの構造的な脆弱性と脅威について説明し、現在のSLOC(Sea Lane of Communication)COWOC(Consolidated Ocean Web of Communication)と呼ぶべき状況に変容しており、特に、代替手段のないフォーカル・ポイント(ハブ港)の脆弱性を指摘した。次にタイのフランシス・ライSEAPOL副所長は、冷戦後の新しいフレームワークの特徴として、冷戦構造から多国間の枠組みへの流れ、軍事面から経済面への流れ、狭義の安全保障から広義の安全保障への流れがあるとの見方を示し、安全保障環境の変化、脅威対象の拡がり、海軍力の新たな役割について説明した。最後にインドのM.K.ロイ海洋ジャーナル編集長(元海軍中将)は、インド洋を巡る南西アジア地域の安全保障問題の特徴について報告するとともに、今後、地政的観点から印・米・日が結びつくのは自然であり、三カ国間の協力の必要性を訴えた。討論においては、主権・領域の問題に関して沿岸国の立場を考慮すべきであるとの意見や、印・米・日三国の関係強化は、その外にある国との新たな敵対関係を生む畏れがあるとの指摘がなされた。

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この講演会は日本財団の助成事業により行っております。